2025.07.29
【型式認証】Vol.3_国家資格×型式認証機のメリット②
皆さんこんにちは!
前回のブログ記事で、包括申請できる「カテゴリーⅡB飛行」について、条件を満たすことで飛行許可・承認申請の手続きをせずに飛ばせる、ということをお伝えしました。
まだご覧いただいていない方はコチラからどうぞ!
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今回は、包括申請だけでなく、「カテゴリーⅡB飛行の組み合わせによる個別申請も手続き不要で飛ばせる」というメリットについてお伝えします。
まず、包括申請と個別申請の違いを整理します。
●包括申請
・飛行場所を特定せずに申請可能(例:「日本全国」や「長野県」など)
・飛行期間は最長で1年間
・飛行マニュアル(航空局標準マニュアル)による制約が大きい。例:鉄道の上空付近は飛行不可
・カテゴリーⅡB飛行の一部組み合わせは飛行不可。例:人口集中地区での夜間飛行 など
●個別申請
・飛行場所を特定して申請
・個別具体的な日時を設定(期間設定も可能)
・飛行マニュアル(航空局標準マニュアル)による制約が、包括申請に比べて緩和されている。例:鉄道の上空付近でも条件付きで飛行可能
・カテゴリーⅡB飛行の全ての組み合わせで飛行可能。例:人口集中地区・30m未満飛行での夜間飛行かつ目視外飛行 など
まとめると、
・包括申請・・・日本全国・最長1年間の申請が可能だが、出来る特定飛行は限られ、飛行マニュアル(航空局標準マニュアル)による制約が大きい
・個別申請・・・飛行場所や日時を特定するが、出来る特定飛行は多くなり、飛行マニュアル(航空局標準マニュアル)の制約が、包括申請に比べ緩和される
どちらにもメリット・デメリットが存在しますが、「国家資格保有」×「型式認証機(機体認証済)使用」の条件下では、さらに大きなメリットがあります。
それは、
カテゴリーⅡB飛行の組み合わせによる特定飛行を手続き不要で、「いつでも」「どこでも」飛ばせる (※カテゴリーⅢ・カテゴリーⅡA飛行に該当しない場合に限る)
ということです。
つまり、包括申請と個別申請の“いいとこ取り”ができると言っても過言ではありません。
ただし、「国家資格保有」と「型式認証機(機体認証済)を使用」の他に、もう一つ準備しなければならないものがあります。それが「飛行マニュアル」です。
「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)」から該当箇所を抜粋します。
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カテゴリーⅡB飛行については、技能証明を受けた操縦者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続きなく飛行可能である。この場合には、安全確保措置として次に掲げる事項等を記載した飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
a. 無人航空機の定期的な点検及び整備に関する事項
b. 無人航空機を飛行させる者の技能の維持に関する事項
c. 当該無人航空機の飛行前の確認に関する事項
d. 無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
e. 事故等が発生した場合における連絡体制の整備等に関する事項
通常、包括申請・個別申請どちらも「申請」手続きが必要となるため、飛行マニュアルを含めた内容は審査され、問題がなければ許可・承認される流れとなります。
しかし、「国家資格保有」×「型式認証機(機体認証済)を使用」の場合、飛行マニュアルを審査する第三者機関が存在しないため、全てが自己責任となります。
したがって、先述の『無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)』の内容を網羅した、独自の飛行マニュアルを自分で作成し、遵守する必要があります。
これは…なかなか高いハードルですよね。
とはいえ、急きょ申請が必要な特定飛行をしなければならなくなったとき、これまでは申請が間に合わず断念していたケースでも、即座に飛行できる可能性が出てきます。
これは本当に大きなメリットであり、これをきっかけに国家資格の取得を目指す方が今後ますます増えてくるのではないかと感じています。
前回・今回と連続して、「国家資格×型式認証機のメリット」についてお伝えしました。
次回は、型式認証機を購入した後に行う「機体認証の手続き」に関して、注意点を含めてご紹介できればと思います。
次回もどうぞお楽しみに!
アルピコドローンアカデミー講師 富山裕介